渋沢栄一記念財団 実業史錦絵絵引
錦絵は写真が普及していなかったころの視覚的な伝達手段でした。社会全体に広い範囲で革新が起こった明治期には、その様子を伝える錦絵がいろいろな形で出版されました。そのうち、ものづくり、産物、職業など、産業シーンを描いたものを、私たちは「実業史錦絵」と呼んでおり、「大日本物産図会」、「諸工職業競」、「衣喰住之内家職幼絵解之図」などのシリーズを始め、鉄道や工場、博覧会など、当時の新しい産業や近代化の様子を示したものが含まれると考えています。
かつて渋沢敬三(しぶさわ・けいぞう、1896-1963)により日本実業史博物館の構想の下に収集された錦絵は、現在、人間文化研究機構国文学研究資料館(https://www.nijl.ac.jp/index.html)に収蔵されており、「日本実業史博物館コレクションデータベース」(http://base1.nijl.ac.jp/~jituhaku/)としてその全貌が公開されています。「実業史」錦絵の範囲は、このコレクションに示されています。
なお、「錦絵」とは、多色刷りの木版画について<色>に注目した呼び方です。「浮世絵」と呼ばれることもありますが、これは<テーマ>に注目した用語です。
『大日本物産図会 丹後国鰤追網之図』
1877(明治10)年
(渋沢史料館所蔵)